カテゴリ:動物福祉と環境( 46 )

アメリカで採卵鶏の従来型ケージ使用禁止。

アメリカの動物保護団体である全米人道協会(HSUS)と

採卵鶏飼養羽数の約80%をカバーする全米鶏卵生産者協議会(UEP)との間に

従来型ケージ飼育の禁止としる協定が7月7日結ばれました。

本協定は2012年1月1日から従来型ケージ飼育となるEU Directiveに追従するものと考えられており、

今後連邦法として従来型ケージの使用禁止をにも働き掛けるとのことでした。

期限は2029年12月31日までとしていますが

アメリカ型の業界主導によるアニマルウェルフェア対応を志向してきた日本においても

影響が現れるのは必至です。


従来型飼育ケージでは、一羽の鶏にA4一枚ほどの飼育面積しか与えられず、

羽を広げることはもとより、むきをかえることもできず、

止まり木止まり行動や、爪とぎ、営巣行動も発現できませんでした。



今後はこれらの行動を保障するエンリッチドケージや、エイビアリーシステムが注目される

ことになると思います。

日本は特に生で卵を食べるために、放牧のようなイメージの良さだけではなく、

衛生・管理のしやすさ、鶏の福祉を考えるべき日が目前にまで迫っています。


写真:カーテン、止まり木、爪とぎのついたエンリッチドケージ
(鶏は無防備なる産卵時、暗いところを好むのでカーテンが重要である)
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by ishiinohiyoko | 2011-08-01 12:18 | 動物福祉と環境

原発20km圏内家畜殺処分と活用方法

こんにちは。福島第一原子力発電所の事故を受け、

20km圏内の家畜の殺処分が漸く決定し、23日から実施されるようです。

ブロイラーやレイヤーは停電で換気ができない、水が飲めない状態が

3日も続けば致命的になります。また乳牛も大量の水を飲み牛乳を体内で

作り出すので、断水は命とりになります。

このような状態が二か月も続き、多くの家畜が餓死しました。

しかし、放牧された豚と肉牛などそれぞれ200頭と300頭を

ただ殺処分するのではなく、研究対象として利用できないかとの動きがあります。

殺処分するのは忍びないという生産者も多く、

研究者たちに研究計画の提出が求められています。

被ばくした家畜の生体および生産物への影響を調査するために

主に利用されると予測されますが、せっかく生き長らえた命を無駄にせず

活用してほしいと思う一方、実際に20km圏内で調査研究するための

コストや人体へのリスクを考えると越えなければならない壁は

多く残されていと感じます。
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by ishiinohiyoko | 2011-05-19 10:38 | 動物福祉と環境

災害時の動物への対応Ⅱ

相変わらず余震が続いていますが、
みなさんいかがお過ごしでしょうか?

今回の震災で大きな打撃を受けた、東北地方は畜産の盛んな地域です。
特に岩手県はブロイラーの出荷数全国シェア15.9%(2009年)を誇る
産地です。大手ブロイラーインテグレーションは
3月20日までに23万羽を飢えと寒さにより死亡させたとの
記載もありました。(3/21日本農業新聞)

また秋田県に関する震災の報道は比較的に少ないですが、
ガソリン不足による飼料運搬が困難になり
苦しんでいる養豚農家もあると書かれていました。(3/19 読売新聞)

家畜福祉の観点からいうと、
餌不足による餓死、冬季でも暖房がないことによる
寒さによる死亡、換気不足による病気の発生など
かなり深刻な問題です。
家畜が生きるための環境を整えられないのであれば、
死ぬまで生かすのではなく、安楽死させることが
この場合適切と考えられます。

しかし生産者自らの命や生活が緊迫しているなか
「まともに生かしてやれないから」という理由で
家畜を安楽死させる判断は、
事態が発生してからではできません。
よって事前に処分方法や場所をきめておく必要があります。

それと同時に、安価な畜産物生産のために
効率や生産性を最優先した現代畜産の問題点も
浮き彫りになりました。
コスト抑制のため畜産でも大希望企業経営が主流になりつつありますが
一日の餌の量も当然ながら莫大になり
緊急時で容易に手配できる量ではなく、
多くの犠牲を出したのが前述した例です。

そんな中、飼料米を自社栽培する岩手県のある肉用鶏の養鶏場では、
飼料の運搬がストップしたさいに、備蓄していた飼料米を給与して
ほとんど死鳥を出さずに済んだそうです。
目先の利益だけでなく、いざという時のリスク管理への投資
余裕をもった生産システムによってこの危機を
乗り切れたともいえるのではないでしょうか。

これまでの輸入飼料依存や、エネルギー消費の大きい
畜産を見直し、新たな飼育システムの開発の必要性が
差し迫っています。
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by ishiinohiyoko | 2011-04-12 16:41 | 動物福祉と環境

災害時の動物への対応

東日本大震災の犠牲者および被災者の方々に
心よりお見舞い申し上げますとともに、
一日も早い復興をお祈りいたします。

今回の震災は津波による甚大な被害を及ぼしました。
また震災に伴い福島原子力発電所の事故により
多くの人々が避難生活を余儀なくされています。

そんななか、畜産農家の多くもその被害をうけ家畜を含む家財
すべてを失った方もいます。
かろうじて助かっても、家畜にやる餌がなかったり、
避難指示を出されても「わが子同然の家畜をおいていけない」と
いった農家もいるようです。
(2011.3.30 asashi.com)

人の被害が状況が次第に明らかになりつつ今、
やっと家畜やペットなどの被害実態についても
メディアで取り上げられるようになりました。

WSPA(World Society for the Protection of Animals:
世界動物保護協会)の災害時対策チームは
震災4日後に日本入りし、
政府関係者や地元の専門家とともに
被災地のペットや家畜の被害状況調査を行いました。
https://www.wspadonations.org/pages/3655_japan_disaster_appeal_3_11_version_f.cfm
ペットは飼い主にとっては家族同然であり、
家畜は農家にとって財産そのものです。

今後は人間同様、人間の管理下にある動物も
災害時にどのように対応させるべきか検討することが
人にとっても、動物にとっても被害を最小限に抑えるために
必要だと感じます。
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by ishiinohiyoko | 2011-04-04 09:00 | 動物福祉と環境

獣医師によるアニマルウェルフェアセミナー

みなさま、こんにちは!

年度末で春がそこまで来ていますが、
また寒さが巻き返してきているので体調管理に気をつけてください!


さて、先日、東北大学医学系研究科附属動物動物実験施設において、
アニマルウェルフェアセミナーが開催されました。
一回目は家畜福祉学(イシイ)寄附講座の教員3名が家畜および実験動物の福祉について
話題提供しましたが、
二回目となる今回は大阪大学医学部動物実験医学教室の黒沢先生から
「動物福祉に関する国際的動きー実験動物福祉ー」と題して話題提供がありました。

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黒沢先生の御講演



筆者は恥ずかしながら、これまでは家畜のウェルフェアに関する動きを
追うのに精いっぱいでしたが、
今回のセミナーで実験動物のウェルフェア実現の難しさ、課題、また家畜のウェルフェアとの
共通点等を獣医師、実験動物管理者のみなさまと共通認識できたことが大きな収穫でした。
OIEについては度々このニュースでも取り上げてきましたが、
OIEは口蹄疫や鳥インフルエンザなど動物の疾病蔓延予防につとめる国際機関です。
一般的に品質保証なので良く知られるISOの加盟国が130余であるのに対し、
OIEは178の国と地域が加盟しており、まさに国際基準であると言えます。
そのOIEの基準の中で、実験動物や家畜においてもアニマルウェルフェアの
重要性を規定しています。


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OIE事務所の入り口




その規程の翻訳に携わった黒沢先生は"care"を試行錯誤の末、
”愛護”と一度翻訳されました。
例えば実験で手術を行ったマウスは安静に、かつ慎重に
世話しなければならないという意味で「術後管理」という単語が使われていたようです。
しかし、今や患者、患畜を「管理」という上からの扱いではなく、
人と動物の対等な関係性をより示す「愛護」や「配慮」のほうが
適切であると言う考えが、背景にあるとのことでした。
また文書のなかで同じ”care”という単語であっても、場合によって意味合いが異なり
「管理」の方が良かったり、「配慮」の方が良かったり、さまざまで翻訳にあたって
大変骨を折られていたとのことでした。
その結果、あらゆる誤解を避けるために、そのまま「ケア」としてしまうのが
適当ではないか?!との結論に至りましたが、
筆者はかえって意味があいまいになるようにも思えました。



セミナーの参加者、また専門家の中でも愛護、福祉、ウェルフェアの
認識の違いがあるなか、これらに対して一般市民に正確な理解を得るには
かなり時間がかかりそうです。
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by ishiinohiyoko | 2011-03-03 12:36 | 動物福祉と環境

鳥インフルエンザと現代畜産

こんにちは。

鳥インフルエンザが九州を中心に猛威をふるっています。

口蹄疫といい、鳥インフルエンザといい、現代畜産に警鐘をならしているようにも感じます。


九州の人口は全国の10%ほとなのに対し、採卵鶏・肉用鶏の生産額は全国の

約26%にものぼり、九州で養鶏業が盛んなことが分かります。

このことはつまり、農場間の距離も近く、感染症が発生すると一気に感染が拡大してしまう

一つの要因と考えられます。

気候や地価、地理的特性から地方で養鶏業が盛んになるのは

理解できますが、今回の鳥インフルエンザを受けて、

生産地の分散化も検討する必要があるように感じます。
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by ishiinohiyoko | 2011-02-07 11:13 | 動物福祉と環境

馬輸送事故

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

色づく木々に秋を感じる一方、
寒さは一気に冬!と震える朝晩です。

11月8日福島県会津若松IC付近で
食用に輸送されていた馬を載せたトラックが横転し
9頭中5頭が死亡するという、悲しい事故がありました。

ニュース報道もされ、力なく横たわった馬や
足を怪我し、歩行困難な状態の馬の映像に心が痛みました。
同じように命を絶つにしても、食肉となって人の命に
つながっていくはずでした。
せめて無駄な事故・無駄な死にしないためにも、
このブログを読んでくださった方々には
命を扱う仕事の責任を改めて感じていただければと思います。


世界の90%以上の国々が加盟する国際獣疫事務局(OIE)では
輸送および屠殺に関するアニマルウェルフェア基準が
すでに施行されています。
2012年にはアジアのアニマルウェルフェア推進国として
OIE国際会議が日本で開催される可能性があります。

しかし日本では未だ畜産関係者や生産者の
アニマルウェルフェアの認知度が低いのが現状です。
これからはやはり多くの関係者により正確かつ早い情報発信、
教育の必要性を強く感じます。
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by ishiinohiyoko | 2010-11-10 09:50 | 動物福祉と環境

アニマルウェルフェア普及活動

10月9日(日)に東北大学の川渡フィードセンターで市民を対象にした
開放講座が開かれました。そこで家福祉学(イシイ)寄附講座は研究紹介をしました。

参加者は農業や畜産に高い関心をもった市民のみなさんで、
フィールドツアーで田んぼを見学する際には
雨がぱらつくのも気にせず、先生方の説明を熱心に聞いていました。

「こんな意識の高い市民になら、家畜福祉の重要性も伝わる!!」と
思い研究紹介にも熱がはいりました。

ポスターを使っての研究紹介。
説明の最中にも質問やご自身の体験に基づいたご意見等を
いただきました。
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そして最後に念押し!
「個人からも寄付も受け付けておりますので是非よろしくお願いします!!」

「おれのなけなしの小遣いなんだぞ!」といいながら

寄附をいただきました。


しっかり伝えれば理解し支援してくれる方々は絶対います!

これからはいかに情報を発信し、理解を広げていくかが重要です。

情報発信の重要性を身をもって感じた開放講座でした。

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by ishiinohiyoko | 2010-10-20 17:52 | 動物福祉と環境

猛暑とアニマルウェルフェア

ご無沙汰しております。
毎日、日本各地で猛暑が続いておりますが、
みなさまいかがお過ごしでしょうか。

この暑さにより家畜も熱中症にかかり、東北ではニワトリが
約4万羽、九州では約3万羽が死亡したと伝えられています。
被害額は約3800万にも上ると考えられ
経済的にも大きな打撃となりました。

産業としても大きな問題になりましたが、
アニマルウェルフェアの観点から言えば、
アニマルウェルフェアの原則である5つの自由が
保障されていなかったのでしょう。
五つの自由
①餓え、渇きからの自由
②不快からの自由
③病気・けがからの自由
④苦悩からの自由
⑤正常行動を発現する自由

暑熱ストレスは「②不快からの自由」がなかったということになります。
人為的に管理した環境の中にいる家畜は、
暑くても自分では対処する自由がありません。
(例えば、泥浴びをする、日陰に入る、風通しのいい場所に移動するなど)
なので、管理者には快適な環境を整えてやる責任があると思います。
そこでお薦めなのが弊社のクーリングパドです!!
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もちろん多くの農家さんが工夫をされ、より快適な環境を整備しようと
努力されていると思います。
しかし、特に今回は東北地方での被害が甚大であったことを考えると、
施設として暑熱対策が十分にされてなかった可能性あります。

地球温暖化や世界各地で起こる台風や山火事などの天災が相次いでいます。
日本でも来年以降もこのような気象が続くかもしれません。
予め対策をとることで、最悪の被害(命と飼育経費の無駄)をなくしましょう。
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by ishiinohiyoko | 2010-08-10 14:21 | 動物福祉と環境

OIE連絡会議

ゴールデンウィークも明け、いよいよ春らしい気候になってきました。


ここで、ひとつCMです!

弊社から99%オーガニック国産ドッグフードPIYOが発売されました!


国産有機ドッグフードPIYO

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PIYOは化学肥料も使わない、有機畜産物であるオーガニックチキンと有機農産物で作った国産ドッグフード。

 有機畜産物とは、飼料は主に有機農産物を与えて、野外への放牧などストレスを受けずに飼育され、また、抗生物質等を病気の予防目的で使用せず、遺伝子組み換え技術を使用していない畜産物のことです。もちろん、PIYOの原料となる鶏肉は、JAS認定を受けた飼料で育てられています。

 有機農産物は、一定の農場の圃場(ほじょう)で3年以上、無農薬(化学合成農薬無使用)、無化学肥料(有機質肥料)で栽培され、その他にも、認証項目をクリアした農産物のことです。消費者の事だけでなく、自然環境との共生、循環も考えた栽培方法で、消費者に残留農薬による健康被害の心配もありません。さらに、化学肥料を使わないので、作物内の栄養分やミネラルのバランスが保たれ、野菜の味が濃く、おいしく感じられます。

有機(オーガニック)のメリットは、やっぱり安全と美味しさです。

ただ今HPで購入することが可能です。是非一度お試しください!

動物福祉の観点から動物実験なども一切行っていません。合わせてモニターも(PIYOのご感想を聞かせてくれる方)募集していますので宜しくお願いします♪








さて、話は変わりますが、5月23-28日にフランスのパリで第78回OIE会議が開催されます。

今回の議題は下記の3つです。
① 疾病横断的項目の改正案、
(病気の診断、リスク分析、獣医部局、一般勧告、貿易措置・輸出入手続きと獣医師による証明)
② 獣医公衆衛生及びアニマルウェルフェア関連項目の改正案、
  (特に家禽についての追記、実験動物に関する事項)
③ 個別疾病項目の改正案
  (口蹄疫およびBSEについて)

これらに対し、日本内で意見をまとめるためにOIE連絡会議が開かれ、準備にかかっています。

今回のOIEの動きから、アニマルウェルフェアは獣医師にも求められる領域となってきたと

いえるのではないでしょうか。

OIEで採択された事項は加盟国の義務となります。

決まってからの対応がゼロスタートにならないよう

日ごろから国際的な基準を意識しておく必要がありそうです。
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by ishiinohiyoko | 2010-05-06 18:31 | 動物福祉と環境