人気ブログランキング | 話題のタグを見る

株式会社 イシイ 動物福祉ニュース

ishiipiyo.exblog.jp
ブログトップ

家畜福祉学寄附講座


こんにちは!急に暑くなってきましたが、お元気ですか?


6月15-16日と東北大学大学院農学研究科で

8社から寄付支援をうけた家畜福祉学寄附講座の意見交換会が行われました。

講座の前身である家畜福祉学(イシイ)寄附講座の二年半の研究成果と

今後の研究教育の方向性について佐藤教授から説明がありました。

またアニマルウェルフェアの現状として、

特にOIEやEUの動きについて、弊社社長は「鶏卵・鶏肉産業の未来」と

題して家畜福祉の可能性をしめしました。

そのほか、支援企業からの期待や要望、

東北大学大学院農学研究科応用動物系の先生方にも

ご参加いただき、各分野第一線でご活躍の先生方に

多角的に家畜福祉についてアドバイスを頂きました。

16日は実験施設見学をしました。


支援企業の方からは生産農家の調査の協力も得られ

家畜福祉が生産現場で実現する日が確実に近付いていることが

感じられました。


家畜福祉学寄附講座_d0000268_1724838.jpg


家畜福祉学寄附講座_d0000268_1732153.jpg

# by ishiinohiyoko | 2011-06-24 17:06

原発20km圏内家畜殺処分と活用方法

こんにちは。福島第一原子力発電所の事故を受け、

20km圏内の家畜の殺処分が漸く決定し、23日から実施されるようです。

ブロイラーやレイヤーは停電で換気ができない、水が飲めない状態が

3日も続けば致命的になります。また乳牛も大量の水を飲み牛乳を体内で

作り出すので、断水は命とりになります。

このような状態が二か月も続き、多くの家畜が餓死しました。

しかし、放牧された豚と肉牛などそれぞれ200頭と300頭を

ただ殺処分するのではなく、研究対象として利用できないかとの動きがあります。

殺処分するのは忍びないという生産者も多く、

研究者たちに研究計画の提出が求められています。

被ばくした家畜の生体および生産物への影響を調査するために

主に利用されると予測されますが、せっかく生き長らえた命を無駄にせず

活用してほしいと思う一方、実際に20km圏内で調査研究するための

コストや人体へのリスクを考えると越えなければならない壁は

多く残されていと感じます。
# by ishiinohiyoko | 2011-05-19 10:38 | 動物福祉と環境

災害時の動物への対応Ⅱ

相変わらず余震が続いていますが、
みなさんいかがお過ごしでしょうか?

今回の震災で大きな打撃を受けた、東北地方は畜産の盛んな地域です。
特に岩手県はブロイラーの出荷数全国シェア15.9%(2009年)を誇る
産地です。大手ブロイラーインテグレーションは
3月20日までに23万羽を飢えと寒さにより死亡させたとの
記載もありました。(3/21日本農業新聞)

また秋田県に関する震災の報道は比較的に少ないですが、
ガソリン不足による飼料運搬が困難になり
苦しんでいる養豚農家もあると書かれていました。(3/19 読売新聞)

家畜福祉の観点からいうと、
餌不足による餓死、冬季でも暖房がないことによる
寒さによる死亡、換気不足による病気の発生など
かなり深刻な問題です。
家畜が生きるための環境を整えられないのであれば、
死ぬまで生かすのではなく、安楽死させることが
この場合適切と考えられます。

しかし生産者自らの命や生活が緊迫しているなか
「まともに生かしてやれないから」という理由で
家畜を安楽死させる判断は、
事態が発生してからではできません。
よって事前に処分方法や場所をきめておく必要があります。

それと同時に、安価な畜産物生産のために
効率や生産性を最優先した現代畜産の問題点も
浮き彫りになりました。
コスト抑制のため畜産でも大希望企業経営が主流になりつつありますが
一日の餌の量も当然ながら莫大になり
緊急時で容易に手配できる量ではなく、
多くの犠牲を出したのが前述した例です。

そんな中、飼料米を自社栽培する岩手県のある肉用鶏の養鶏場では、
飼料の運搬がストップしたさいに、備蓄していた飼料米を給与して
ほとんど死鳥を出さずに済んだそうです。
目先の利益だけでなく、いざという時のリスク管理への投資
余裕をもった生産システムによってこの危機を
乗り切れたともいえるのではないでしょうか。

これまでの輸入飼料依存や、エネルギー消費の大きい
畜産を見直し、新たな飼育システムの開発の必要性が
差し迫っています。
# by ishiinohiyoko | 2011-04-12 16:41 | 動物福祉と環境

災害時の動物への対応

東日本大震災の犠牲者および被災者の方々に
心よりお見舞い申し上げますとともに、
一日も早い復興をお祈りいたします。

今回の震災は津波による甚大な被害を及ぼしました。
また震災に伴い福島原子力発電所の事故により
多くの人々が避難生活を余儀なくされています。

そんななか、畜産農家の多くもその被害をうけ家畜を含む家財
すべてを失った方もいます。
かろうじて助かっても、家畜にやる餌がなかったり、
避難指示を出されても「わが子同然の家畜をおいていけない」と
いった農家もいるようです。
(2011.3.30 asashi.com)

人の被害が状況が次第に明らかになりつつ今、
やっと家畜やペットなどの被害実態についても
メディアで取り上げられるようになりました。

WSPA(World Society for the Protection of Animals:
世界動物保護協会)の災害時対策チームは
震災4日後に日本入りし、
政府関係者や地元の専門家とともに
被災地のペットや家畜の被害状況調査を行いました。
https://www.wspadonations.org/pages/3655_japan_disaster_appeal_3_11_version_f.cfm
ペットは飼い主にとっては家族同然であり、
家畜は農家にとって財産そのものです。

今後は人間同様、人間の管理下にある動物も
災害時にどのように対応させるべきか検討することが
人にとっても、動物にとっても被害を最小限に抑えるために
必要だと感じます。
# by ishiinohiyoko | 2011-04-04 09:00 | 動物福祉と環境

獣医師によるアニマルウェルフェアセミナー

みなさま、こんにちは!

年度末で春がそこまで来ていますが、
また寒さが巻き返してきているので体調管理に気をつけてください!


さて、先日、東北大学医学系研究科附属動物動物実験施設において、
アニマルウェルフェアセミナーが開催されました。
一回目は家畜福祉学(イシイ)寄附講座の教員3名が家畜および実験動物の福祉について
話題提供しましたが、
二回目となる今回は大阪大学医学部動物実験医学教室の黒沢先生から
「動物福祉に関する国際的動きー実験動物福祉ー」と題して話題提供がありました。

獣医師によるアニマルウェルフェアセミナー_d0000268_11401777.jpg

黒沢先生の御講演



筆者は恥ずかしながら、これまでは家畜のウェルフェアに関する動きを
追うのに精いっぱいでしたが、
今回のセミナーで実験動物のウェルフェア実現の難しさ、課題、また家畜のウェルフェアとの
共通点等を獣医師、実験動物管理者のみなさまと共通認識できたことが大きな収穫でした。
OIEについては度々このニュースでも取り上げてきましたが、
OIEは口蹄疫や鳥インフルエンザなど動物の疾病蔓延予防につとめる国際機関です。
一般的に品質保証なので良く知られるISOの加盟国が130余であるのに対し、
OIEは178の国と地域が加盟しており、まさに国際基準であると言えます。
そのOIEの基準の中で、実験動物や家畜においてもアニマルウェルフェアの
重要性を規定しています。


獣医師によるアニマルウェルフェアセミナー_d0000268_11414454.jpg

OIE事務所の入り口




その規程の翻訳に携わった黒沢先生は"care"を試行錯誤の末、
”愛護”と一度翻訳されました。
例えば実験で手術を行ったマウスは安静に、かつ慎重に
世話しなければならないという意味で「術後管理」という単語が使われていたようです。
しかし、今や患者、患畜を「管理」という上からの扱いではなく、
人と動物の対等な関係性をより示す「愛護」や「配慮」のほうが
適切であると言う考えが、背景にあるとのことでした。
また文書のなかで同じ”care”という単語であっても、場合によって意味合いが異なり
「管理」の方が良かったり、「配慮」の方が良かったり、さまざまで翻訳にあたって
大変骨を折られていたとのことでした。
その結果、あらゆる誤解を避けるために、そのまま「ケア」としてしまうのが
適当ではないか?!との結論に至りましたが、
筆者はかえって意味があいまいになるようにも思えました。



セミナーの参加者、また専門家の中でも愛護、福祉、ウェルフェアの
認識の違いがあるなか、これらに対して一般市民に正確な理解を得るには
かなり時間がかかりそうです。
# by ishiinohiyoko | 2011-03-03 12:36 | 動物福祉と環境