みなさま、こんにちは!
年度末で春がそこまで来ていますが、
また寒さが巻き返してきているので体調管理に気をつけてください!
さて、先日、東北大学医学系研究科附属動物動物実験施設において、
アニマルウェルフェアセミナーが開催されました。
一回目は家畜福祉学(イシイ)寄附講座の教員3名が家畜および実験動物の福祉について
話題提供しましたが、
二回目となる今回は大阪大学医学部動物実験医学教室の黒沢先生から
「動物福祉に関する国際的動きー実験動物福祉ー」と題して話題提供がありました。
黒沢先生の御講演
筆者は恥ずかしながら、これまでは家畜のウェルフェアに関する動きを
追うのに精いっぱいでしたが、
今回のセミナーで実験動物のウェルフェア実現の難しさ、課題、また家畜のウェルフェアとの
共通点等を獣医師、実験動物管理者のみなさまと共通認識できたことが大きな収穫でした。
OIEについては度々このニュースでも取り上げてきましたが、
OIEは口蹄疫や鳥インフルエンザなど動物の疾病蔓延予防につとめる国際機関です。
一般的に品質保証なので良く知られるISOの加盟国が130余であるのに対し、
OIEは178の国と地域が加盟しており、まさに国際基準であると言えます。
そのOIEの基準の中で、実験動物や家畜においてもアニマルウェルフェアの
重要性を規定しています。
OIE事務所の入り口
その規程の翻訳に携わった黒沢先生は"care"を試行錯誤の末、
”愛護”と一度翻訳されました。
例えば実験で手術を行ったマウスは安静に、かつ慎重に
世話しなければならないという意味で「術後管理」という単語が使われていたようです。
しかし、今や患者、患畜を「管理」という上からの扱いではなく、
人と動物の対等な関係性をより示す「愛護」や「配慮」のほうが
適切であると言う考えが、背景にあるとのことでした。
また文書のなかで同じ”care”という単語であっても、場合によって意味合いが異なり
「管理」の方が良かったり、「配慮」の方が良かったり、さまざまで翻訳にあたって
大変骨を折られていたとのことでした。
その結果、あらゆる誤解を避けるために、そのまま「ケア」としてしまうのが
適当ではないか?!との結論に至りましたが、
筆者はかえって意味があいまいになるようにも思えました。
セミナーの参加者、また専門家の中でも愛護、福祉、ウェルフェアの
認識の違いがあるなか、これらに対して一般市民に正確な理解を得るには
かなり時間がかかりそうです。