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株式会社 イシイ 動物福祉ニュース

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OIEコードの更新

東京オリンピック・パラリンピックが2年後に迫り、
各方面からアニマルウェルフェアの話題が聞こえるようになりました。

前回の更新から5年の月日が流れてしまいましたが、
アニマルウェルフェアとブロイラー生産システムのOIEコードも
2018年8月10日に新しく更新されました。

内容に大きな変更点はなかったものの、
ブロイラーのウェルフェアを評価するには、設備や資材、設計ではなく、
動物の状態に基づいたアウトカムベースの評価項目を利用することが重要であると
加えられ、その重要性が強調されていました。

ブロイラーの福祉のための評価基準または測定項目は
2013年の基準同様、下記の通りです。

1. 死亡率、淘汰率および罹患率
2.歩様
3.接触性皮膚炎
4.羽毛の状態
5.疾病、代謝障害および寄生虫侵入の発生
6.行動
 (1)恐怖行動
 (2)空間分布
 (3)パンティングおよび羽の伸展
 (4)砂浴び行動
 (5)摂食、飲水、採食
 (6)羽つつき、カンニバリズム
7. 飲水量および摂食量
8. 生産成績
9. 損傷率
10.目の状態
11.発声 

前回の投稿では5の疾病、代謝障害および寄生虫の侵入まで
説明したので6の行動以降について解説します。

見ても分かる通り、評価基準が11あるなかで行動は更に細分化され
6つの測定項目が規定されています。
鶏の行動を日々観察することが重要なことがよく分かりますね。

(1)恐怖行動
恐怖を感じている鶏は人から回避する行動を示し、管理者が鶏舎内を
ゆっくり歩いたときよりも、早く歩いたときによく見られます。
また突然大きな音をたてると、驚いて逃げ、鶏が鶏の上に
重なり圧死を招くこともあります。
管理者は見回りの際に、ゆっくりと移動することがよいと考えられます。

(2)空間分布
鶏の空間分布の変化(群がりなど)は、温度的な不快あるいは、
湿った敷料の領域があること、あるいは照明、餌や水の分布が
偏っていることを示している可能性があります。

(3)パンティングおよび羽の伸展
過度なパンティングや羽の伸展は、暑熱ストレスやアンモニア濃度が
高いなどの劣悪な空気の質を示しています。
 2013年の規定では、「過度な」と「アンモニア濃度」の記述はなかったので、
ある程度のパンティングは止む終えないとの見方があった一方で、
アンモニアが鶏の福祉に大きく影響することが示されました。

(4)砂浴び行動
砂浴び行動は複雑な身体維持行動で、ブロイラーを含め多くの種類の鳥で
見られます。砂浴び行動をしている間、鳥の羽は敷料をほぐす働きもあります。
 今の時期はいいですが、冬は結露などで敷料も湿りやすくなります。
ブロイラーが砂浴びできるよう、定期的に床面の撹拌など管理の工夫が
必要になります。

(5)摂食行動、飲水行動、採食行動
摂食行動や飲水行動の減少は、給餌給水スペースが不適切または設置の不具合であることを含め、栄養の偏り、水や飼料の汚染などの管理の問題が示唆されます。
また疾病にかかったブロイラーでも、摂食量および飲水量の減少はよくみられることから餌や水の消費量を記録することが重要です。

(6)羽つつき、カンニバリズム
羽つつきは顕著な羽毛の損失を引き起こし、カンニバリズムにつなが恐れがあります。カンニバリズムは、他の鶏の肉を引き裂くなど、結果的に重大な傷を
引き起こします。異常行動は多数の要因に起因することが知られています。

7. 飲水量および摂食量
日々の飲水量を記録することは、鶏群の病気や環境温度、相対湿度、飼料消費量
及び他の関連する要因を考慮に入れたウェルフェアの問題を示す有効な
手段です。給水に問題があるときは、敷料の湿り、下痢、摂食製皮膚炎や
脱水症を引き起こす可能性があります。

8.生産成績
日増体重、飼養要求率、生存率は鶏の福祉を測定するのに重要な項目です。
よって、ある一定の福祉レベルを上げていくことは生産性も改善すると
考えられます。

9.損傷率
 損傷率は生産期間中あるいは出荷時などの捕鳥中の鶏群の福祉問題を示す
可能性があります。損傷には、他の鶏によるもの(ひっかき傷、羽毛の損失
または羽つつき及びカンニバリズムによる傷)及び皮膚炎(例えば接触性皮膚炎)
のような環境状況によるもの、並びに捕鳥などの人の介入によるものがあります。
捕鳥中に最も一般的に起こる損傷は打撲、足の骨折、翼の損傷及び
大腿骨の脱臼があげられます。
 2013年の規約では、「接触性皮膚炎」には触れていませんでしたが、
処理場で確認できる、福祉を評価する指標として有効とされています。

10.目の状態
 結膜炎は、ホコリ及びアンモニアなどの刺激物があることを示している可能性が
あります。またアンモニア濃度が高いと、角膜熱傷及び最終的に失明を引き起こす
可能性があります。目の発達以上には低照度と関連している可能性があります。

11.発声
発声は正および負の情動状態を示していると考えられます。鶏群の発声は経験の

ある管理者によって解釈が可能です。



このように、ブロイラーが正常に餌を食べ、水を飲み、

暑がったり、寒がったりせずに鶏舎内で均一に分布し、砂浴びをし

病気や怪我をせずに健康に成長することができれば、

ブロイラーの福祉は確保されています。


一羽でも多く高い福祉状態になるために、何を今すべきなのか

いろんな不安要因がありますが一つ一つなくして

いくこと、前回のチェックより良くなっていることが大事です。



最後まで読んでいただきありがとうございました。



by ishiinohiyoko | 2018-09-12 17:20 | 動物福祉と環境